2つの栓抜き 三頭犬と船着場 未知のアブラボウズ

旭市に行った。


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宿泊場所から見える海。




雨が降りそうな天気だったが夜までは降らなかった。見渡す限りの海に気分が上がり、荷物を置いてすぐに散歩に行く。


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たぶん地元の猫。ラフに居着いてていいですね。




少し歩くと、住居兼お店のような商店があった。ビールの栓抜きが欲しかったので寄ってみることにした。お店は少し薄暗く、すりガラスの扉から差し込んでくる光の明るさで保たれていた。陳列棚は、同じ商品が後ろまでぎっちり列になっているのではなく、ある分だけ、2〜3個手前に置いてある形だった。普段見慣れているコンビニとは違う店内の雰囲気に静かにウキウキしながらお店を回った。

栓抜きが中々見つからなかったので、お店の人に、栓抜きってありますか?と聞いたところ、栓抜きですか〜、、、ちょっっっと待ってくださいね〜と言いながら、私が先ほど見ていた棚に行き、20cmくらい奥まで覗いて探してくれた。あ!ありました!ありました!最後の一個です!と、赤い栓抜きを片手にパァッとした笑顔でこちらを見てくれた。私も嬉しくなり、わあ!最後の一個ですね!すごい!と言った。

お会計の際、そういえばさっき見つけたのでよかったら持って行ってください!と、何かのお酒のおまけであろう栓抜きをくれた。栓抜きあるかな?と入ったお店で2つの栓抜きを手に入れた。これは幸先のいい散歩のスタートだ。


10分ほど歩くと船着場があった。

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船着場を見ていると、ハリーポッターと賢者の石のあのシーンを思い出した。門番である巨大な三頭犬に、ハリーたちが音楽を聞かせて眠らせ(ケルベロスは音楽を聴くと眠る)、その隙に三頭犬の間をすり抜けて、危機を脱するシーンだ。そこでは三頭犬が眠っている安心感よりも、起き出したらどうなるか分からない大きな力への畏怖の方が強い。

船着場の大きな船もエンジンを切られてじっとしている。しかし、活動時にみせる圧倒的な力を確かに纏っている。その緊張感にゾクゾクしながらも、船は三頭犬のように起きて襲ってきたりはしないので、はしゃぎながらパシャパシャ写真を撮って楽しんだ。


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翌日朝の船着場。




目的地だったホテル近くの海に行き、満足するまでぼうっとしたり、右端から左端(私が設定した端)まで歩いたりした。少し暗くなってきたので、一旦ホテルに戻って財布を取ってから夜ご飯を食べに行こうとなった。夜ご飯の目星はついており、お腹も空いていたのでホテルに戻って、またすぐ外に出た。

歩いて5分くらいのところにお店はあった店内の壁紙は優しい黄色で、頭上にはスタンドグラスのペンダントライト、木の楕円形のテーブルに薄いブルーの椅子と、とてもかわいらしい雰囲気だ。そのかわいらしい黄色の壁に、大物の鯛の魚拓や、手書きの海鮮メニューが貼ってある。絶妙なバランス感。たまらない。

夕食は、しらうおの小鉢や地魚ユッケ、アブラボウズの煮付けなどを食べた。アブラボウズとは深海魚で、地域にもよるが市場にはあまり出回らないそう。私が食べたアブラボウズはマスターが一週間お店を休んで自分で捕ってきたものらしい(隣の席でマスターが常連の人たちと話してるのを盗み聞きした)。

煮付けは、名前の通り脂がたっぷりのったアブラボウズと濃く煮詰めた甘めの醤油ダレが絡み合ってとても美味しかった。後で調べたのだが、油分が多い魚は煮つけるとふわふわになるらしい。次の日のお昼、同じお店に行ってアブラボウズの炙り刺しを食べた。生で食べるそれは煮付けの食感と違って、しっかりと弾力があった。脂感は健在で噛めば噛むほど旨味が出てきて美味しかった。調理方法でこんなに変わるなんて、魚と料理は不思議だ。

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ぴちぴちのシラウオグラビア




帰りは船着場を経由して、遠回りでホテルに帰った。夜の船着場は緑色に見えるライトに照らされて、昼間より活気付いて見えた。さらに向こうには岬があり、昼間は小さくてほとんど見えなかった灯台の光りがはっきりと見えた。

岬にある灯台に行ってみたいなと思いながら、下から眺めているのが楽しく、下をゆっくり歩き回り満足して帰った。